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The Memories of All Star Game Vol.2

「シュート・ピッチャー」がオールスターでは勝てなかった隠された理由とは!?
西本聖 西本 聖氏 スペシャルインタビュー
オールスターゲームに出た時は、ファンに喜んでもらおうと思って、普段の公式戦より左足を高く上げて投げてましたよ。
写真:K-KUMP/文:岸並 徹/デザイン:IMJ

左足を高く上げるダイナミックな投球フォームから
鋭く曲がるシュートを投げ込んで内野ゴロの山を築き、
江川卓、定岡正二の両投手らと長く巨人の投手陣を支えた西本さん。

ドラフト外で入団しながら、「沢村賞」や「最多勝」など数々の
タイトルを獲得。
“記録”にも“記憶”にも残る大投手だった。
巨人時代に6回、中日時代にも2回オールスターゲームに出場した
西本さんにとって、
オールスターゲームとはどんな存在だったのか?
西本 聖 (にしもと・たかし)

1956年(昭和31年)6月27日、愛媛県生まれ。74年、松山商からドラフト外で巨人に入団。81年に18勝で「沢村賞」を獲得。中日に移籍した89年に20勝を挙げ最多勝。90年にはドラフト外入団では初となる「通算150勝」を達成した。その後オリックス、巨人と移り、94年に現役引退。通算165勝128敗17セーブ、防御率3.20。右投げ右打ち。

西本聖氏にとってオールスターは苦い思い出かもしれない。全セで8回出場したが、通算成績は9試合で0勝3敗、防御率7.23。巨人時代の84年は第1戦に先発し、石毛(西武)に3ランを浴びるなど2回を投げ6安打4失点、第2戦は3番手で登板して門田(南海)に2ランを打たれるなど2回を投げ5安打4失点。2試合とも敗戦投手となり、オールスター史上初のシリーズ2敗を記録した。84年の11被安打、8失点は今でもシリーズのワースト記録だ。中日移籍1年目の89年第1戦でも敗戦投手となり、オールスターでは1度も勝てなかった。

「プロじゃ通用しないかも」って思ってた自分が選ばれたんだから、喜びもひとしお(笑)



西本さんのオールスター初出場は入団6年目の昭和55年、監督推薦で選ばれたんですね?

西本氏:素直に嬉しくて、嬉しくて。「これでやっと一流のプロ野球選手として世間に認められたんだ」っていう思いもありました。僕はドラフト外で巨人に入ったのですが、入団当時はドラフト1位の定岡正二ばかり注目されて、自分は期待されていないと感じていましたね。僕自身も「プロでは通用しないかも…」と考えてた事もあったし。そんな男がオールスターに選ばれたのですから、喜びもひとしおです。

初めて登板した試合のことは覚えていますか?

西本氏:うーん。あまり記憶にないですね。嬉しくて野球どころじゃなかった(笑)。夢に見た舞台で、ファン以上に楽しんでいました。まだ若かったし、当時は巨人の選手がほとんど一緒に出ていたから、先輩がいる安心感もあったと思います。

翌年(昭和56年)のオールスターゲームは、「ファン投票1位」での出場でした。

西本氏:ファン投票で選ばれたってことは、一流というだけでなく、真のスター選手として認められた気がしました。オールスターに関する一番の思い出でもありますね。


他チームの選手は、試合を見てるフリして長嶋さんや王さんを見てたんじゃないかな?






オールスターゲームに出るということは、やはり選手にとって特別なものなのですね。

西本氏:もちろん。オールスターゲームが近づくと、成績のいい選手は自分も選ばれるかな、とやっぱり意識しますよ。ただ逆に、そのために力が入りすぎて調子を崩すこともありますけど(笑)。

西本さんがお若い頃のオールスターゲームでは、練習やベンチの中はどんな雰囲気だったんですか?

西本氏:セ・リーグは、チーム単位で動くことが多くて、練習や移動を他のチームと一緒にすることはあまりなかったですね。ロッカーもチームごとにまとまっていましたし。だから、他チームの選手はミスター(長嶋さん)や王さんと話がしたかったのかも知れないけど、あまり話しかけられる雰囲気じゃなかったですよ。後で考えると、自分は一番いい時代に巨人の中で選手をやらせてもらったと感じます。

じゃあ、巨人の選手ということで羨ましがられた方ですか?

西本氏:でしょうね。今の巨人はどうか分からないけど(笑)。だから、試合を見るフリしてミスターや王さんを見てた人も結構いたんじゃないかな? シーズン中では、同じベンチに座ることはないでしょうから。

中日に移籍された後も、2回出場されています。今度は自分が巨人以外のセ・リーグの選手として出たわけですが、その時はどうでしたか?

西本氏:その頃はもうベテランに近い年齢で。巨人の選手も後輩がほとんどだったから、緊張するということはなく普通に話していましたね(笑)。


オールスターゲームでは、あえて無理してシュートを投げなかったですね。


ペナントレースでは顔を合わせないパ・リーグの選手と、対戦してみた印象は?

西本氏:当時のパ・リーグはテレビ中継がほとんどなかったから、オールスターゲームはパ・リーグの選手にとって名前を覚えてもらう場でした。だから、自分をアピールするんだという気持ちがセ・リーグより強かったはず。戦っていて、凄くそれを感じましたね。目の色が違っていましたよ。

当時のパ・リーグにいた強打者といえば…?

西本氏:やっぱり南海の門田さんとか、あと阪急のブーマーとかね。

オールスターで対戦する選手と日本シリーズで対戦するかも…とか考えるんですか?

西本氏:それはありましたね。僕はシュート・ピッチャーだったけど、オールスターゲームではあえて無理して投げなかったですよね。

温存して、という意味ですか?

西本氏:そう、「日本シリーズのために研究されたくない」っていう部分もあったんだけど、「相手に球を当ててケガをさせちゃいけないな」というのもね。打たれたくないという気持ちと、球筋を見られたくないという気持ち。複雑ですよ。

他チームのキャッチャーとバッテリーを組むことに、抵抗はなかったんですか?

西本氏:それも嫌でしたよ。シュートを見られたくなかった。だから、キャッチャーにシュートを要求されても、よほどのピンチの時以外は投げないようにしていました。ほとんどまっすぐで、変化球を投げるにしてもカーブしか投げなかったり(笑)。

得意のシュートなしで、気迫ムキ出しで向かってくるパ・リーグの強打者を抑えるのは難しくありませんでしたか?

西本氏:オールスターゲームには8回出場しましたけど、成績はあまり良くなかったですね(苦笑)。MVPなどの賞をピッチャーが取るのも難しいしね。

じゃあ、どちらかというとオールスターは“楽しむ”っていう感じでしたか?

西本氏:ファンの方々以上にね(笑)。ただし、「日本シリーズでは絶対に打たせないぞ!!」っていう気持ちはありましたよ。

交流戦でやられた選手が、オールスターゲームで仇を討つのを見るのも面白いはず。


今年のオールスターゲームでは、どの選手に注目されていますか?

西本氏:まずは、やっぱりマー君(田中投手/楽天)ですね。とってもいい子ですからね。今年の春のキャンプでも話しましたけど、「頭のいい選手だな」と感じました。今年ずっと一軍で厳しい勝負をしているせいか、投げ方もどんどん良くなってきてる。

野村監督の下っていうのもイイんですかね?

西本氏:それももちろんあるし、楽天は他チームより投げるチャンスがありますから、彼にとっては良かったと思います。

バッターで注目されるのは?

西本氏:うーん、ジャイアンツではフルスイングの小笠原や高橋の先頭バッターホームラン。それにホームランを量産してる楽天の山崎が面白い。フルキャストスタジアムでは4番を打つんじゃないかな? それとヤクルト・青木の足にも注目したいね。

出場する選手にはどんなプレーを期待しますか?

西本氏:あんまり勝負にこだわり過ぎずに、自分の特徴を思う存分発揮してほしい。僕もオールスターゲームでマウンドに上がった時は、ファンに喜んでもらおうと思って公式戦の時より左足を高く上げて投げていました。ま、打たれましたけどね(笑)。今回選ばれた選手も、ピッチャーは思い切りストレートを投げて欲しいし、足の速い選手ならアウトになってもいいから盗塁を狙って走って欲しいな。ホームランバッターは当てに行かず、ブンブン振り回してほしいですね。

そういう意味でいうと、今年のオールスターで注目の対決は?

西本氏:「マー君vsT・ウッズ」かな。

最後に、オールスターゲームについて一言よろしくお願いします!!

西本氏:交流戦が始まってからセ・リーグ対パ・リーグという図式に新鮮味が薄れたと感じる人がいるかもしれないけど、例えば交流戦でやられた選手がオールスターゲームで仇を討つのを期待して見るのも面白いと思います。選手には、ケガだけには気をつけて精一杯のプレーを見せて欲しいですね。

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